主なポイント
- AIM製剤の効果には限界がある
- 重度の慢性腎臓病(末期)ではほとんど効果が期待できない。
- 軽〜中程度であっても、進行を遅らせる可能性はあるが、治癒はしない。
- AIMは壊死細胞を取り除くことで尿細管の閉塞を改善するが、死んだ細胞を生き返らせることはできない。
- 猫の慢性腎臓病の本質
- 危険因子が持続的に腎臓(特に尿細管)を破壊していく病態。
- 治療よりもまず危険因子のコントロールが重要。
- 主な危険因子
- 歯周病
- 猫腎臓細胞で培養されたワクチン
- ほとんどの猫用ワクチンは猫腎臓細胞で培養。
- 唯一、猫腎臓細胞で培養されていないのは「ノビバック TRICAT(三種混合)」。
- 猫腎臓細胞由来ワクチンを毎年接種すると、腎臓を攻撃する抗体ができ、慢性腎臓病発症リスクが上がるとされる。
- AIM製剤の実用面での問題
- タンパク質製剤のため経口では消化され、注射や点滴が必要。
- 効果は一時的で、費用や猫への負担に見合わない可能性。
- 「AIM製剤があるから大丈夫」という発想は危険。
- 予防的アプローチ
- AIM活性化物質(シスチン、還元型グルタチオンなど)を予防的に投与。
- 危険因子回避の方が重要。