主なポイント

  1. AIM製剤の効果には限界がある
    • 重度の慢性腎臓病(末期)ではほとんど効果が期待できない。
    • 軽〜中程度であっても、進行を遅らせる可能性はあるが、治癒はしない。
    • AIMは壊死細胞を取り除くことで尿細管の閉塞を改善するが、死んだ細胞を生き返らせることはできない。
  2. 猫の慢性腎臓病の本質
    • 危険因子が持続的に腎臓(特に尿細管)を破壊していく病態。
    • 治療よりもまず危険因子のコントロールが重要。
  3. 主な危険因子
    1. 歯周病
      • 歯周病菌やその炎症物質が血液を介して腎臓を傷害。
    2. 猫腎臓細胞で培養されたワクチン
      • ほとんどの猫用ワクチンは猫腎臓細胞で培養。
      • 唯一、猫腎臓細胞で培養されていないのは「ノビバック TRICAT(三種混合)」。
      • 猫腎臓細胞由来ワクチンを毎年接種すると、腎臓を攻撃する抗体ができ、慢性腎臓病発症リスクが上がるとされる。
  4. AIM製剤の実用面での問題
    • タンパク質製剤のため経口では消化され、注射や点滴が必要。
    • 効果は一時的で、費用や猫への負担に見合わない可能性。
    • 「AIM製剤があるから大丈夫」という発想は危険。
  5. 予防的アプローチ
    • AIM活性化物質(シスチン、還元型グルタチオンなど)を予防的に投与。
    • 危険因子回避の方が重要。